2008年3月 4日
奈良の麻の魅力を全国に発信し続ける井上企画・幡、今回は京都市木津川にある「Lier幡」で素敵な麻製品を見せていただきながら、井上千鶴さんにお話をうかがいました。井上企画・幡では、糸からつくった手織りの麻布を使って、小物やテーブルウエア、バッグなどを製作。デザインや染色、縫製にもこだわって一つ一つ丁寧に製作されているのだそう。他にも古布*と組み合わせた手提げ袋や、奈良印傳*をあしらったブックカバーなど、さりげなくおしゃれなのが素敵!

「私は奈良で生まれ育ってきましたが、結婚・子育ての間、奈良を離れてみて、奈良のよさ、麻の素晴らしさ、日本の伝統美を再認識しました。その一方で奈良には他と違っておしゃれなもの、おいしいものが少なくて。奈良のよさを全国に発信したいという思いと、大好きなモノづくりや企画に携わっていきたいと思ったのがきっかけです。」とおっしゃる井上さん。今回、尾田組が運営するふれあい回廊「夢しるべ 風しるべ」のコンセプトを知って参画されたのだそうです。
――ふれあい回廊「夢しるべ 風しるべ」のお店はどんなかんじになりますか?
東大寺や正倉院、平城京跡の近くにあって全国からいろんな方が観光におみえになるでしょう。その方々が文化財や風景を楽しんだ後に、気軽に立ち寄ってくつろげる場所になればよいですね。(ふれあい回廊「夢しるべ 風しるべ」の)オリジナル商品もありますし、実際に麻布を手にとって本物のよさを感じていただきたいですね。
――カフェもありますね?ええ。40席ほどで、お茶やスイーツのほか、奈良のおばんざいもあります。無農薬や有機などの素材からこだわり、お客さまに手づくりのおいしさを味わっていただきます。ドレッシングなども一から手づくりですから・・・正直、手間はかかりますが(笑)。シンプルだけど毎日食べても飽きない、おいしいものをと考えています。
“日本の世界遺産とともに生きる豊かさ・楽しさ・美しさ”が奈良にはあり、それが今はまだまだ伝えきれていないのが残念、と語る井上さん。今回の事業のコンセプトと意義を感じて他とは違う独自の奈良らしさ、幡・INOUEらしさを出していきたいと、ますます思いがふくらんでいるそうです。そんな井上さんのおすすめは「東大寺二月堂の回廊に夕陽がさす頃」と「夜の大仏様」。ふれあい回廊「夢しるべ 風しるべ」は夜も営業しているので、足をのばしてみてはいかがでしょう。
“おみやげ”というよりも、奈良の“おすそわけ”って感じでしょうか。奈良へ行った記念として気に入ったアイテムを見つけるのもいいですよね。お手入れのワンポイントアドバイスもいただきました。 「お洗濯した麻布は隅々を引っ張って干し、半乾きのときにアイロンを掛ければ綺麗に仕上がります。繊維の太い“タフ”(種)ならアイロンなしでも大丈夫。年月とともに色や風合いがかわるのも麻のよさです。」
*奈良の麻織物について: 材料のラミー(苧麻:ちょま)は、アジアで多く利用されてきた繊維で、欧米のリネン(亜麻)よりもシャリ感が強く、丈夫なのが特長。奈良晒は手紡ぎの糸を手織りした麻布を天日にあてて白くしたもの(越後麻布は雪で晒す)。
*古布(こふ):古くなった布生地を利用した昔ながらのリサイクル。奈良や京都では着物や帯をほどいて使い、絹の光沢と色柄が魅力。
*奈良印傳(ならいんでん):鹿革に漆で模様を刷る伝統技術。鹿皮の独特なやわらかさと漆の深い光沢が使い込むほどに味わいを増していきます。


