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「奈良には、日本の歴史や伝統の奥行きに触れることができる場所として、来日以前から興味と親しみを抱いていました。来日してからも、ライヴや取材で訪れるたびに、世界遺産や歴史遺産そのものだけでなく庭や山や町並みや、そこに住んでいるひとたちに接することで、感動とインスピレーションを与えてくれる場所となりました。
いうまでもなく、楽器の伝播に最も大きな役割を果たしたのはシルクロードです。シルクロードの終着地点でもある奈良の正倉院に宝物として残る四弦琵琶は、インドをへて中国にきてピーパ(中国琵琶)となり、海をこえて雅楽器として日本に紹介されたものと聞きます。私が弾くサズも、西アジアで誕生した古楽器から、長い歴史の旅路の中で変化しながら伝わったもので、琵琶とルーツは同じです。終着地点としての奈良が、この世紀になって、シルクロードの出発地点として世界に開かれていくようなイメージを、施設のロケーションの素晴らしさと一緒にテーマソングに重ねてみました。奈良の風がシルクロードに向かって吹いていくような感じです。みなさんどうぞ聴いてみてください。」

ヤドランカ・ストヤコヴィッチ(Jadranka Stojaković)
有名な旧ユーゴスラビアの歌手で、作曲家・作詞家、そして画家としても活躍中。サラエボ冬季オリンピックのテーマソングを手がけ、レコーディングで来日したときにボスニア内戦で帰国できず、活動の拠点を日本に移し、以来国内外問わず各地で公演を続けている。
演奏するのはアコースティックギターやエレキギターなどの弦楽器のほか、サズ(*)という民族楽器を奏でるのも特徴のひとつ。ヨーロッパ各地の民族音楽や現代音楽、邦楽など、ジャジーなものやララバイまで、ジャンルやスタイルにこだわらず、ひとつひとつの音を空気になじませるかのように自由に送り出す、繊細でまるで絵巻のような音楽世界が広がっていくのがヤドランカの音楽スタイルだ。
映画「魂萌え!」主題歌をはじめ、彼女の楽曲はドラマCM、ゲームでも数多く使われているが、今回のように商業施設のための楽曲創作はふれあい回廊「夢しるべ 風しるべ」が初めて。
*サズ(Saz)は、2000年の歴史を持つイラン・トルコ・バルカン半島諸国の伝統的な弦楽器。琵琶の原型ともいわれ、日本の三味線とは親戚のようなもの。洋ナシの形をした胴体から長く華奢な棹がのび、その音色は弾き手によって神秘的にも情熱的にも奏でられる。
名前のJadranは“アドリア海”、kaは“子”を意味していて、「アドリア海の子」となるのだそう。祖国である旧ユーゴは「7つの隣国、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国※」と呼ばれたほど、複雑だけどお互いの違いを意識せずに暮らせる文化に恵まれた豊かな国だったのだとか。不思議なことに日本と習慣が似ていたり、浮世絵、俳句、黒澤映画などに親しむ母親の影響から、彼女自身幼いころから日本に興味を持っていたという。
有名な旧ユーゴスラビアの歌手で、作曲家・作詞家、そして画家としても活躍中。サラエボ冬季オリンピックのテーマソングを手がけ、レコーディングで来日したときにボスニア内戦で帰国できず、活動を日本に移し、以来各地で公演を続けている。
(※7つの隣国:イタリア、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ギリシア、アルバニア/
6つの共和国:スロベニア、クロアチア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア/
5つの民族:スロベニア人、クロアチア人、セルビア人、マケドニア人、モンテネグロ人/
4つの言語:スロベニア語、セルビア語、クロアチア語、マケドニア語/3つの宗教:カトリック、東方正教、イスラム教/
2つの文字:ラテン、キリル)